つくつくぼうしが鳴きはじめた頃でした。
『悪魔👿が来たりて寿司🍣を食う…』第2話です。
“デコッパチ藤田君”は、少ない毛量の前髪でうっすい庇(ヒサシ)を作った髪型で、ペナペナのその庇は、VO5でカッチカチに固められていました。その強度は下敷きのようでもあり、ショートホープが庇に乗るくらいです。
今の若い人は”庇(ヒサシ)”がなんなのか知らないでしょうね。要は前髪で顔の軒下を作るのです。前髪で帽子の”ツバ”を作る…と言った方が早いか…だいたい不良か不良を装うヤツがその髪型をしていました。”ポンパドール”に近い髪型だったかも知れない。80年代からは、もうマンモスと同じくらいの絶滅危惧種です。
デコッパチ藤田君は、一応はちょい悪のIVYスタイルで、横須賀の黒い制服のズボンを穿いて、REGALのコインローファーを履いていました。
俺はと言うと、夏にはボタンダウンシャツに、コッパン姿だった。冬は制服を着ないと寒いので仕方なしに制服を着てました。
要は、私服っぽくないと学校の帰りにパチンコ屋の新装開店に行けない…ってのが理由です。(゜▽゜)オッホホホ
冬は、制服をカラーを内側に折って、あたかも黒のブレザーを着ているように見せてパチンコ屋に行ってました。
俺とデコッパチ藤田君とは、同じクラスになった事はなかったのだけど、連れの連れだったので親しくなりました。
よく笑う🤣陽気な男でした。
しかし癖が強い喋りをする男で、リアクションの返しはだいたい「ハイや!実際!」でした。
今で言えば「確かに!」みたいなニュアンスでしょうか…🤔❔
デコッパチ藤田君のお父さんは公務員だという事を知って、「リッチ✨に違いない!」と思い、ターゲットとして十分で家庭訪問が決まりでした!
彼の家は三宮駅から少し西の小野柄通という場所で、社宅に住んでいました。
社宅と言えども立派なメゾネットです。
アパートなのに2階がありました。
デコッパチ藤田君は事前に家に公衆電話で電話して、俺達が押し掛けることをお母さんに伝えてくれていました。
🍣寿司もお願いしてくれてました。
デコッパチ藤田君の社宅にお邪魔して初めて、お父さんは市バスの運転手だという事を知りました。
デコッパチ藤田君はお母さんによく似ていました。
お母さんはデコッパチではありませんでした。
そしてお待望の寿司🍣が出て来ました。
デコッパチ藤田君
『食べてや!』
俺
『サンキュー!頂くわ!ところでオヤジさん、バス乗ってはるんやな」
藤田君
「ハイや!実際!」
俺
「俺は仙台生まれやねんけど、子供の頃バスの運転手になりたかってん」
デコッパチ藤田君
「ホンマに!?」
俺
「ウン!ほんまやで。道で同じバスとすれ違う時に運転手が互いに敬礼するやん?あれがカッコええなぁ~と、思っててん」
藤田君
「ハイや!実際!」
俺
「寿司🍣、旨いわぁ~」
デコッパチ藤田君
「ハイや!実際!」
とにかくその口癖が強烈なのです。
「ハイや!実際!」の連発でした。
会話の半分が「ハイや!実際!」なんです。
デコッパチ藤田君の社宅への家庭訪問は不思議と誰と行ったのか全く思い出せません。🤔💭
サイババとオジンはデコッパチ藤田君と中学が同じだったので一緒に行ったハズです。サイババとオジンはデコッパチ藤田君とはおなじ中学でも、あまり親しくなかったのかも知れません。
🍣も食い、上りも🍵も頂き、そろそろおいとましようかな…と思い、お母さんにお礼を告げ、玄関でデコッパチ藤田君に今日の事を謝りました
俺
「今日は悪かったな…急に🍣食わせ!とか言うて…🙇🏻♀️お母さん怒ってないか??」
デコッパチ藤田君
「怒ってるわ」
俺
「ホンマか⁉️やっぱりな…(•ᴗ•; )かなりか?」
デコッパチ藤田君
「ハイや!実際!」
俺
「ゴメンな( •́ࡇ•̀ )💦ご馳走さん!ホナ!帰るわ」
デコッパチ藤田君
「ハイや!実際!バイバイ👋」
デコッパチ藤田君が、玄関の扉を締めた音がやたらとデカく”ガーン‼️💥”という大きな音が階段に響きました。
デコッパチ藤田君の社宅を出た時、もう夕方の5時頃でした。
近くの公園でツクツクボウシが鳴いていました。
「ツクツクオーシ! ツクツクオーシ!ツクツクツク…」
俺はその鳴き声を「ハイや!実際!」で呟きました…「ハイヤ!ジッサイ!ハイヤ!ジッサイ!ハイヤハイヤハイヤ…」
俺はなんか寂しい気持ちになりました。
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